RAIN DROPS -初めての恋-
「じゃあ、行こっか?」
あたしがローファーを履いたのを見計らって、天音くんは
「はいっ」
と左手をあたしの前につき出した。
―――ドキンッ
胸の高く跳ねた音がした。
「うん…」
あたしはそれを聞かれないように、笑顔で右手を差し出した。
――冷たい手だった。
なのに、あたしの右手から伝わる天音くんの温度が、反比例であたしの温度を上げていく。
天音くんの大きな手に、あたしの手が包まれている。
なんでだろ?
手をつなぐって、安心するんだね……。
「笑花の手はちっちゃいね?」
クスクス笑われて、ちょっと膨れっ面になってしまう。
「そんなことないもんっ」
そんな会話をしながら、
にこにこ笑顔の天音くんと
真っ赤な顔したあたしは、
小さなビニール傘の中で手をつなぎながら、
一緒に歩き出した――。