RAIN DROPS -初めての恋-




伝えられたことがうれしくて、あたしは口元が緩んでしまう。


「雨を見ると天音くんと初めて話したときとか、天音くんと一緒に帰ったときを思い出すの」

……だからね、雨を好きになったんだよ。


「天音くんが好きだからだよ」


ちゃんと上手く笑えたかな?

ちゃんと伝えられたかな…?





―――ガシャンッ!





その音と同時にあたしは天音くんに抱きしめられていた。

ビニール傘が足元に転がっている。



「天音…くん?」


あたしは急な出来事に戸惑いながらも、天音くんの顔を見上げた。

視界に入った空は、もう泣き止んでいた――。



「…一目惚れだったんだ…」

「…え?」

あたしは話がよく読めない…。



「高校の入学式の時も、雨が降ってて。黄色い傘の中で泣いてる女の子がいたんだ」




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