RAIN DROPS -初めての恋-




――道のど真ん中。

でも、今はそんなこと気にしない……。

車はあまり通らない道だし…。



天音くんは、照れくさそうに笑ってる。


「その子の泣き顔が悲しいくらいに、綺麗だったんだ…」


あたしを見つめてくれる目は、すごく優しい…。


「……笑花だよ?」





――1年以上前の入学式。

今日から高校生だって、楽しみにしてたらやっぱり雨で……。

神様に祝福されてないことが悲しくて…。

あたしはお気に入りの黄色い傘の中で涙をぬぐいながら帰った。


……まさかそれを、天音くんに見られていたなんて…。

誰もいないと思ってたのに…。



「俺は、ずっと前から笑花が好きだった」


天音くんはそう言うと、ぎゅっと強くあたしを抱きしめてくれた。




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