友誼ゆうぎ〜自分のために鏡みよう〜< 短編集 >
今
私は
自分に何がおこったのか
理解できないでいたが
冷たさが足から全身に伝わって
私は動けずにいた。
涙が
静かに頬をつたって
あぁ、
私 今 泣いてるんだ。
それでも
遠くになっていく
男性の背中を見つめていた。
「 響時くん、何してたの?
急に消えたから探しちゃった。 」
あの男性…
響時さんって名前だったんだぁ
あの男性の
背中越しに
かわいらしい声が聞こえてきた。
私の姿は見えているはずなのに
二人には私の存在を消されていた。
どれくらいの時間
外を歩いていたんだろう…。
少し汚れているコートと
乱れている髪を
心ない人の声が聞こえているけど
今
そんなのどうでも良かった。
ただ私は
歩くしか行動できないロボットになっているようだった。
「 四葉? 」
私の歩みを止めようとしている人の声
でも止まらない私の足
「 四葉! 」
私を後ろから抱きしめてくれる人
さっきの人とは違う
心に届く温度があった。
「 四葉!
何も聞かないから
とりあえず俺の実家に行こう。
ここから近いから!! 」
私は
小さく頷いた
この人は
私の味方な気がしたから…。