友誼ゆうぎ〜自分のために鏡みよう〜< 短編集 >
この男性の実家に連れてこられた
玄関を開けたら
安心できる顔が
そこにあった。
安心、
本当に心から安心して
声を出して泣いた。
抱きしめていてくれたのが
千里くんだとわかった。
千里くんのママ
小さい頃
よく遊びにきたんだよね。
千里くんの家に。
懐かしい安心できる
千里くんママが
小さく震えている私を
ずっと抱きしめていてくれた。
私に何も聞かずに
「 四葉ちゃん
ここは四葉ちゃんの家だと思って
いつまでも居てくれていいのよ。 」
あれから
1人でいるのがこわくて
寂しくて
千里くんちに下宿させていただいてる。
時々
千里くんが
私の様子をみにきてくれていた。
明日はバレンタインデー
あの日に
千里くんに見つけてもらえなかったら
私は
どうなっていたのだろうか…?
チョコレートケーキを作りながら
自然に笑顔になっていく
感謝の気持ちを
ありがとうをいっぱい伝えたくて
私の作った
チョコレートケーキを
千里くんと千里くんママが笑顔で見てくれている。
ありがとうを
どんなふうに伝えたらいいか
なんかわからなくて困っていると
「 四葉ちゃんが
笑顔の時間が増えていること
本当に嬉しくて
毎日見ていたいんだ。
ゆっくりでいいんだ
本当にゆっくり
ボクとの未來を
今から始めてくれませんか? 」
「 千里くん
ありがとう…。 」
私は
笑顔で
涙を流して
千里くんを見つめていた。
end