友誼ゆうぎ〜自分のために鏡みよう〜< 短編集 >
「 紗英、泣いちゃダメじゃん! 」


って言ってる
仁湖だって泣いてるじゃん!


こんなに華やかなところで、
ちがう意味で泣いてる私。


恋羽も
仁湖も
女の子として
一番かわいい時を過ごしている…


私は?


前に歩かなきゃ!


泣いてたからメイク最悪。

化粧直しに出た廊下で


「 紗英ちゃんかな? 」


呼ばれて振り返っても
知ってる顔はなかった。


不思議そうな顔をしている私に


「 やっぱり紗英ちゃんだ!
オレのこと覚えてないよね? 」


失礼かもしれないけど、
小さく頷いた。


「 今日は妹のためにありがとうね!
で、思い出す? 」


「 あっ!
うん!
二千翔くんだぁ!
久しぶりだよね? 」


二千翔くんだとわかって、はしゃいでいる自分に驚いている。


「 あははっ、
紗英ちゃん笑ってる方がいいからね。
なんか悲しそうな顔してたから気になっちゃって…。 」


「 気になる? 」


「 うん、
気になっていたよ。
今日ずっと見てたからね。 」



何かが始まる予感を
勝手に感じてしまって…

ずっと忘れていたドキドキを久しぶりに感じて


私も二人に負けない恋愛しなきゃ!


仲良しこよしも大切だけど…

私が一番
幸せになるんだからね!!


「 紗英ちゃん、
そろそろ戻ろうか? 」


不意に繋がれた手に
心臓破裂しそうです。


「 紗英ちゃん? 」


「 はぁーい! 」


繋いだ手にも力をこめた。





end

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