キズナ~私たちを繋ぐもの~
一つに結んだ長い髪、理知的な細長い瞳。
紗彩さんは、【できる女】という印象の持ち主だ。
私はお茶を入れて紗彩さんの目の前に置いた。
彼女は、にっこりとほほ笑んで受話機を置く。
「ごめんね。びっくりしたでしょう」
「いえ、兄がすいません」
「色々、ショックだったみたいよ」
くすり、と穏やかに笑う。
何を話合ったと言うのだろう。
私についての相談?
素敵な恋人がいるのに、煮え切らない妹に何と言ったらいいか、とか?
紗彩さんは、兄がそんな風に相談できる人なんだ。
そう思うといたたまれない気分になる。
彼女は兄の好きな人で、対等の立場にいる人。
私とは違う。
「心配してるわよ」
紗彩さんの言葉に、不思議に反発心が湧きあがる。