キズナ~私たちを繋ぐもの~
「私、もう心配されるような年でも無いです」
「そうね。25歳になったんだっけ?」
「はい」
余裕で返されて、ますます自分の懐の狭さを思い知る。
紗彩さんは、私の顔をじっと見ると、優しそうな表情で笑った。
「……なんですか?」
「いいえ。何でもないわ。ごめんね、遅くに。
でも、他に行くとこも無いものだから」
「紗彩さんの家は?」
「私の家は駄目なの。かといって私も帰らなきゃいけないから、いつまでも付き合う訳にもいかないし」
その言葉に、そう言えばこれまで兄が外泊はしてこなかった事を思い出す。
大人の2人が付き合ってるんだから、本当だったら外泊なんてたびたびあることだ。
なのに、今まで遅くても必ず翌朝には家にいた。
「紗彩さんは、お兄ちゃんと結婚しないんですか?」
ふと湧きあがった疑問を彼女に投げかける。
彼女は驚いたように一度私を見た後、目を伏せて笑った。