キズナ~私たちを繋ぐもの~


「……アヤ」

「きゃっ」


その時、兄の口が開いたので、驚いて体を離そうとした。
だけど、彼は体を横にずらし、ベッドに引きずりこむように私を引っ張った。


「アヤ、……アヤ」


強い力で抱きしめられ、声をあげる暇もなく唇が重ねられた。

兄は寝ぼけているのか酔っているのか、目は閉じたままだ。

強いお酒の匂い。
飲んでる訳でもないのに、私の頭までぼうっとなる。

熱に浮かされたように呼ばれる名前は、紗彩さんのものなんだろうか。

きっと間違えられてる。

そう思いながら、拒む力は出なかった。

だってそう。
望んでた。

紗彩さんみたいに抱きしめられたい。
こんな風に激しく強く触れられたかった。

例え間違えられてるのだとしても、構わない。

< 123 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop