キズナ~私たちを繋ぐもの~
「……アヤ」
「きゃっ」
その時、兄の口が開いたので、驚いて体を離そうとした。
だけど、彼は体を横にずらし、ベッドに引きずりこむように私を引っ張った。
「アヤ、……アヤ」
強い力で抱きしめられ、声をあげる暇もなく唇が重ねられた。
兄は寝ぼけているのか酔っているのか、目は閉じたままだ。
強いお酒の匂い。
飲んでる訳でもないのに、私の頭までぼうっとなる。
熱に浮かされたように呼ばれる名前は、紗彩さんのものなんだろうか。
きっと間違えられてる。
そう思いながら、拒む力は出なかった。
だってそう。
望んでた。
紗彩さんみたいに抱きしめられたい。
こんな風に激しく強く触れられたかった。
例え間違えられてるのだとしても、構わない。