キズナ~私たちを繋ぐもの~
「アヤ、アヤ」
愛おしそうに呼ぶ声に、体中から熱がこ込み上げてきて、
何度も重なってくる唇に、意識が飛んで行きそうになる。
「アヤ……アヤノ」
その時兄が呼んだ名前に、私の体が固まった。
兄はそれにも気づかずに、強く体を押し付けながら私を抱きしめる。
背中、頭、腕。
大きな手が、私の体を確認するように撫でていく。
胸元がはだけて、冷たい空気が入りこんでくる。
今、なんて言ったの?
そう言葉にしたいのに、唇は塞がれたまま互いの熱い息が交差するだけで。
嬉しいからなのか悲しいからなのか分からない涙が、私の瞳に込み上げてくる。
そしてそれは、そのまま目尻から耳に向かって伝って行った。
私の顔を包むように兄の手が頬をなぞった時、その雫が指先に触れ、兄はびくりと体を震わせた。
兄の動きが止まり、私は恐る恐る目を開ける。
そして、
目が合った。