キズナ~私たちを繋ぐもの~
「あや、……の」
「お兄ちゃん」
兄は酔いも冷めたかのように一気に青ざめて、私の体を離した。
それは滑稽ともいえるほどで。
私は急激に悲しくなってきた。
「悪い、俺。……俺、紗彩と飲んでたはず」
「酔いつぶれたんだって。紗彩さんが車運転して連れてきてくれたの。彼女は、タクシーで帰って行ったけど」
「そうか。……すまん。俺、お前に変なこと……」
「ううん。大丈夫」
首を振って、私は乱れた服を直そうとした。
服に指をかけ、……だけどその手は動かせなかった。
触れられた掌の感触が、忘れられない。
酔った勢いだからと、今度は割りきれなかった。
見て。
私を見て。
妹としてじゃなくて、私を。
そう思ったら、再び涙があふれ出してきた。