キズナ~私たちを繋ぐもの~


「私は……」

「司くんは、どうしたんだ」


私の言葉を遮るように、兄がその事実を畳みかける。


「司……とは」


心臓が早鐘を打つ。

こんな風に抱きついていたら、きっとこの音がばれてしまう。
だけど離れて顔を見る勇気もない。

話をしていると、どんどん兄妹に戻される。
伝えてしまった事が、一時の激情だったと諭されてるみたい。


「わ、別れてきたの」

「……」


兄が息を呑むのが、首のびくつきで分かった。


私は怖くて。

何を言われるのか、
この手を離されてしまうのか

分からなくて怖くて。

必死にしがみついた。

< 128 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop