キズナ~私たちを繋ぐもの~
このまま、ずっと抱きしめて欲しい。
妹とか、兄とかそんなの忘れて、ただ触れ合っていたい。
強く掌を重ねられて、兄の唇が首筋を伝って行く。
私は固く目をつぶって、漏れそうになる吐息を必死で我慢した。
けれど兄の唇は、私の鎖骨の辺りでぴたりと止まった。
はあ、と苦しげに吐き出された息と共に、私の肌の上に落ちたのは、滴。
兄の、涙――――
「……ごめん」
「お……、兄ちゃん」
兄は、突然故障したロボットのように、体をぎくしゃくと動かした。
私の腕を引っ張って体を起させ、めくれていた衣服を戻す。
その間もずっと、涙だけは正常な動きで流れていた。
兄の、……大人の男の人のそんな涙を見たのは初めてで、私はなんて言ったらいいか分からなかった。