キズナ~私たちを繋ぐもの~


「ごめん、アヤ」

「ど……して」

「……捨てられないんだ」

「……」

「お前に対して、色んな感情がありすぎて」


兄の瞳から、涙がこぼれおちる。
逞しい兄の体が頼りなげに曲がって、私の目の前でうずくまる。


「最初は、……嫉妬。生まれてくるお前に、嫉妬してた。
もらわれっ子の俺の居場所がなくなると、恐怖さえも感じてた」

「……」

「だけど、生まれてきたお前は可愛くて。俺はすぐに夢中になった。お前の良い兄になりたかった」

「……」

「18になって家を出ようとしたとき、お前が引きとめてくれて、俺はすごく嬉しかった。ああ、ちゃんと家族になれたんだって」


お酒の匂いが、もう部屋中に蔓延してしまったような気がする。
頭がくらくらして、まともに聞いていられない。


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