キズナ~私たちを繋ぐもの~
すると背後に、思ってもみない人影を見つけた。
兄がまだ酔いの残る赤い顔のまま、汗だくで立っていた。
息を切らしていて、肩が上下している。
もしかしてずっと走って探していてくれたのだろうか。
だけど目を合わせる事ができなくてうつむくと、その仕草で司が兄に気づいた。
「……達雄さん」
「アヤ、……司くん」
「酔ってるんですか?」
司と兄が向かい合って話し始める。
兄はまだ気持ちが悪そうに、体を揺らしていた。
もともと、お酒に強い方じゃない。
あんな風に酔いつぶれてから、動けるなんて思わなかった。