キズナ~私たちを繋ぐもの~
「アヤ。さっきの……」
兄の言葉に、私が目をギュッとつぶる。
言わないでほしい。
駄目なら駄目でこれ以上追い詰めないで欲しかった。
私の態度から察したのか、司がかばうように私の前に入った。
「達雄さん」
「司くん。アヤ、……綾乃とは」
「もう一度話をしたいと思ってるんです。綾乃も、そのつもりのようですし」
「……アヤ」
兄の目が私を見る。
責めるような視線に感じるのは、私の心のせいなんだろうか。
「私、……私もそのつもり、……だから」
「アヤ」
「……いやっ」
兄から吐き出される息はまだお酒臭い。
不意にさっきの出来事が思い出されて、泣きだしたくなる。