キズナ~私たちを繋ぐもの~
やがて車は司のアパートについた。
私は促されるまま彼の部屋に入り、クッションを使って壁にもたれた。
「お茶。飲むか?」
「うん。……ありがとう」
コンロがぱちぱちと点火の音をたてる。
数時間前に別れ話をしたなんて思えないほどいつもの調子で、司はコップを並べた。
「知ってるか? ほうじ茶のティーパックあるんだぜ」
「え?」
「この間見つけて買ったんだ。夜飲むならこういう方がいいからさ」
「司」
「それとも、酒の方がいいか?」
「……司」
相変わらず、司ははぐらかすのが上手で。
私はここで笑ってしまっていいものか少し悩んだ。