キズナ~私たちを繋ぐもの~
「全く……」
『彼』の口から溜息とともに呟きが漏れる。
部屋の中でも見回したんだろうか。
今日は朝、何を着て行こうか悩んでいたら時間が無くなってしまって、片付けないまま家を出てしまった。
だから、大分服が散乱しているはずだ。
女らしくないって思われてるかな。
ごめんね。
ついつい心の中で謝ってしまう。
それでも目は閉じ続けた。
『彼』とは今日話をしたくないのだ。
『彼』は肩の辺りまで布団を引っ張り上げると、額を優しく撫でてくれた。
それはとても優しい手つきで、病気になったときによくしてくれた仕草だ。
なんか懐かしい。
そんな風に、思い出に浸っていたその時。
考えてもみないことが起こった。