キズナ~私たちを繋ぐもの~
「先に顔洗えよ。昨日眠る寸前まで『顔洗わなきゃ』って言ってたぞ」
「え?」
「『化粧落とさなきゃ』って。女ってそういうところが面白いよな」
ははは、と笑う。
なんかおかしい。
私たちは昨日別れたんじゃなかったの?
なのにどうして、こんな穏やかな会話をしているの。
言われるままに顔を洗ってみると、やっぱりちょっとガサガサしている。
「司。化粧水なんて持ってないよね」
「ああ。男ものしかないな」
「とりあえず貸して」
「ああ」
司が横に来て、男性用化粧水を棚の上から取ってくれる。
それを私に手渡しながら、司は柔らかい視線で私を見た。