キズナ~私たちを繋ぐもの~
車はそのまま私の家に向かう。
今日はお休みだから、兄は家にいるだろうか。
でも、紗彩さんとデートとかは?
そう思うのと同時に、昨日の紗彩さんの言葉を思い出した。
『契約恋愛』
あれは、どういう意味だったんだろう。
紗彩さんに子供がいるとして、旦那さんが亡くなっているのならばそれは別に不倫ではない。
兄だって35歳だし、選り好んでる年でもないだろう。
紗彩さんは、まだ旦那さんの方が好きだってこと?
そして兄は、……兄は?
『いつしか俺の心を揺さぶるようになって』
あの言葉を信じるならば、私の事を女だとそう意識はしていてくれたんだろうか。
でも、駄目なんだ。
それが悲しい。
本当に最初から女としてなんて見れないと、そう言われてしまえば諦めもつくかも知れないのに。