キズナ~私たちを繋ぐもの~
「お兄ちゃん。私……」
「……行くのか?」
「私」
喉が詰まって、声が出せなかった。
離れたくないとそう思う気持ちが強いけど、ここに居たら絶対に兄を忘れることはできない。
好きだと、……もっと好きだと思ってしまいそうで苦しかった。
そのとき、ポンと肩に司の手が乗せられた。
見上げても司の目は私の方を向いてはいなかった。
ただ、兄に向かって厳しい視線が注がれている。
手の重さに促されるように、私は小さく頷いた。
その瞬間、右腕に添えられていた兄の手が離れた。