キズナ~私たちを繋ぐもの~
私と彼の部屋
「……わかった」
小さな沈黙の後、兄は頷いて背中を向けた。
そして家の奥へと入っていく。
司は私の腕を引いて、玄関の中に入る。
「おじゃまします」
彼の呟きに、私自身もこの家から遠くなってしまった気がして胸が痛かった。
一目散に彼は私の部屋へ行き、兄はそれを居間から見送っていた。
司は私の部屋を見渡すと、両手を腕まくりして振り向く。
「荷物、まとめるの手伝うよ」
「……でも」
「それともここに居たいのか?」
「それは」
分からない。
自分でもよくわからないのだ。
「……分からない」
素直にそう言葉にしてみた。
すると司は一つ溜息を吐きだして、私の頭を撫でた。