キズナ~私たちを繋ぐもの~
「ちょっと、待ってて」
「綾乃」
「お兄ちゃんとちょっと話してくる」
「じゃあ俺も一緒に」
司は私の手を離してはくれない。
仕方が無いので頷いて、居間の襖を開けた。
8畳の和室に兄が背中を見せて座っている。
テレビの音だけが部屋の中には響いているけど、兄の視線はそちらを向いてはいなかった。
「……お兄ちゃん」
私の呼びかけに、兄はびくりと体を揺らす。
「昨日。変なこと言ってごめんなさい」
「ちがっ」
私の言葉にすぐに振り向いた兄は、すぐ後ろの司の姿を確認して、ゆっくり目を伏せた。