キズナ~私たちを繋ぐもの~
「……お前は何も悪くない。悪いのは、俺だ」
「でも」
「酔ってて、抑えが利かなかった。でも」
「いいの。分かってる。……あれがお兄ちゃんの答えだと、そう思えば良いんだよね?」
「アヤ……」
兄の言葉は、それ以上続かなかった。
私はそれを肯定の意味なんだと受け取って、こみ上げてくる涙をぐっとこらえた。
「じゃあ、綾乃連れて行きますから」
沈黙を割ったのは司。
促されるまま、私はその手に従った。
玄関を出て車に乗るまで、後ろは振り返る事はできなかった。
兄の表情を確かめるのが怖かったのだ。
「車、出すよ?」
司の言葉に、頷くだけの返事をした。