キズナ~私たちを繋ぐもの~


「……お前は何も悪くない。悪いのは、俺だ」

「でも」

「酔ってて、抑えが利かなかった。でも」

「いいの。分かってる。……あれがお兄ちゃんの答えだと、そう思えば良いんだよね?」

「アヤ……」


兄の言葉は、それ以上続かなかった。
私はそれを肯定の意味なんだと受け取って、こみ上げてくる涙をぐっとこらえた。


「じゃあ、綾乃連れて行きますから」


沈黙を割ったのは司。
促されるまま、私はその手に従った。

玄関を出て車に乗るまで、後ろは振り返る事はできなかった。
兄の表情を確かめるのが怖かったのだ。


「車、出すよ?」


司の言葉に、頷くだけの返事をした。

< 164 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop