キズナ~私たちを繋ぐもの~
物思いにふけっていると、玄関で音がした。
司が帰ってきたんだ。
首を振って、私は彼の方を振り返る。
彼はここ数日、仕事が終わってすぐに戻ってくる。
飲み会とか、以前は結構あるって言っていた気がするけど、それも控えているのだろうか。
穏やかそうな視線の下に、見えるのは彼の不安なのか、それとも疑念なのか。
「ただいま、綾乃」
「……お帰りなさい」
私が隠しているのは、罪悪感なのか、それとも諦めなのか。
……分からない。
「ごはん、食べようか」
出来るのは、ただ日常を過ごしていくことだけ。
こんなことをいつまでも続けるわけにはいかないけれど、今はどうしたらいいのかも分からなかった。