キズナ~私たちを繋ぐもの~
今のは何?
どういうこと?
体が震える。
目尻の奥に込みあがってくるのは、何?
「お……にい、ちゃん」
声を立てずに、口の動きだけで呟いた。
そう、『彼』は兄だ。
その拍子に、瞳に滴が盛り上がる。
目を開けると、堰を失ったかのようにそれは流れ落ちた。
部屋の中にはもう誰もいない。
窓から差し込む月明かりが照らしだすのは、雑然と散らばっている雑誌、洋服。
机の上におやつ用のチョコレート。
何も変わらない自分の部屋。