キズナ~私たちを繋ぐもの~
「……うっ」
涙が湧きあがってきて、それを堪えることもできなかった。
両手首を掴まれていて、ぬぐう事も出来ない。
「えっ……えっ」
私の嗚咽だけが、テレビから聞こえる笑い声に反論するように響く。
司の言葉はもっともだ。
それが事実だからこそ、私はずっと考えるのを避けていたんだ。
「そ、そんな、……こと、……わかってる、……もん」
精一杯言えたのはそれだけ。
手を離してほしいという意味を込めて軽く腕を振って抵抗した。
こんな顔を見られているのは嫌だったから。
でも司は離してはくれなかった。
そのまま掴まれた手を壁に押し付けられ、近付いてきた唇が、涙を吸い込んだ。