キズナ~私たちを繋ぐもの~
「……司」
「忘れさせてみせる」
「……」
「時間がかかってもいい。俺が達雄さんを忘れされてやる」
「私……」
否定も肯定も出来なかった。
体に力が入らなくて。
何度も頬に触れる唇の温かさが、妙に体を疼かせる。
「やっ」
そのまま、唇は私の唇に降りてきた。
両手首を彼の手で締めつけられていた私は、身動きも出来なかった。
「……嫌?」
伏し目がちに彼が問う。
「俺が、……キライ?」
小さな声に、私は首を振った。
嫌いじゃない。
むしろ、好きだと思う。
ただ、もっと好きな人がいるというだけ。