キズナ~私たちを繋ぐもの~


 その夜、私たちの関係は元に戻った。

結局私には、一人で立つ勇気なんか無くて。
ずっと司に甘えたまま。

何も纏わない体で私を腕に抱く彼が、天井を見上げながらポツリと呟いた。


「シャンプー。そろそろ買わないとな」


私はそれに、小さく頷くことで答えた。
そして静かに、決心を固めた。


……司と生きていこう。

この人以上に私を分かってくれる人なんて、きっといない。

もう、兄の事は忘れよう。

例え、忘れられなかったとしても、この想いを口にする事はもうやめよう。
司との未来を考えて生きていくんだ。

胸の奥で何かが悲鳴をあげたけど、それには気づかないふりをして、目を閉じた。


< 179 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop