キズナ~私たちを繋ぐもの~


「お母さんに、何かあったの?」


私の声は上ずっていたかも知れない。
兄の声も押し殺されていて、なんだかすごく聞こえにくい。


『……ずっと黙ってて悪かった。もうだいぶ前から容体が良くないんだ。
お前に、……なんて言っていいか分からなくて』

「大丈夫なの?」

『緊急な訳じゃない。だけど、お前に会いたがってる。
悪いが今日これるなら来てくれないか?』

「分かった」


私はすぐ電話を切って司を見た。
彼も心配そうでこちらを見ている。


「お母さんが」

「何かあったのか?」

「調子悪いみたい。私に会いたがってるって」

「そうか」


司は何か考えるように顎に手を当てると、立ち上がって着替えを探した。


「送ってく。朝食食べたらすぐ行こう。面会時間は何時からだっけ」

「9時からだけど、早めに行っても入れてくれると思う」

「わかった」


漠然とした不安が胸をよぎった。
私は慌ただしく用意をすることで、その不安を消そうとした。


< 181 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop