キズナ~私たちを繋ぐもの~
「お母さんに、何かあったの?」
私の声は上ずっていたかも知れない。
兄の声も押し殺されていて、なんだかすごく聞こえにくい。
『……ずっと黙ってて悪かった。もうだいぶ前から容体が良くないんだ。
お前に、……なんて言っていいか分からなくて』
「大丈夫なの?」
『緊急な訳じゃない。だけど、お前に会いたがってる。
悪いが今日これるなら来てくれないか?』
「分かった」
私はすぐ電話を切って司を見た。
彼も心配そうでこちらを見ている。
「お母さんが」
「何かあったのか?」
「調子悪いみたい。私に会いたがってるって」
「そうか」
司は何か考えるように顎に手を当てると、立ち上がって着替えを探した。
「送ってく。朝食食べたらすぐ行こう。面会時間は何時からだっけ」
「9時からだけど、早めに行っても入れてくれると思う」
「わかった」
漠然とした不安が胸をよぎった。
私は慌ただしく用意をすることで、その不安を消そうとした。