キズナ~私たちを繋ぐもの~

白い部屋と母


 日曜の病院は、多少の見舞客はいるものの平日よりも静かだ。

私は、司と共に母の病室の前に居た。
ノックをする一歩手前でためらっているのは、中に兄がいるんじゃないかという不安からだった。


「綾乃、入ろう?」


司に促されて、ドアをノックする。
「はい」と答えたのは、兄の声だ。


「……綾乃」


扉を開けるのと同時に、兄と母が、安堵ともとれるような表情で一斉に私を見る。
それは私には批難の視線にも感じられた。

一ヶ月あまり、母の見舞いにも来なかったのだ。
責められても仕方ない。


「綾乃。なんか久しぶりね」

「うん。……お母さん、ごめんなさい」

「いいのよ。忙しかったんでしょ。司さんも、わざわざ来てくれてありがとう。……良かった。仲良くしているのね」

「ご無沙汰してすみません。仕事が忙しかったりして」


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