キズナ~私たちを繋ぐもの~
なんだかものすごく胸騒ぎがする。
ずっと苦しそうだった。
それは知ってる。
だけどじゃあ今、どうしてそんなに晴れ晴れとした顔をしているの。
「それもようやく終わる。綾乃、私はね、もう長くないんですって」
「え?」
「ずっと達雄は治るからと言い張ってた。だからこっそり、お医者様と達雄の話を盗み聞きしたのよ」
嫌な予感が止まらない。
変な汗が出てきて、首筋のあたりが妙に冷える。
聞きたくない。
母の言葉を遮ろうと、私は震える声を出した。
「お母さん」
だけど母は、私の言葉を遮るように、か細いけれどしっかりした声で考えてもみなかった事を言った。
「余命、1ヶ月だって」
「……え?」
「だからもうすぐ終わるの。この体の痛みも、心の痛みも」
「いや、やめて!」
「もうあなたたちを縛りつけなくて済むのよ」
「やめて、お母さん、そんな事言わないで!」