キズナ~私たちを繋ぐもの~
私の叫ぶような声に、ドアが開いた。
兄が眉をひそめて、私と母を交互に見る。
その後ろで、司も心配そうにこちらを見ていた。
兄は躊躇せず、私の元に歩いてくると手首を掴んで引っ張った。
結果、兄の腕に寄りかかるような体勢になる。
懐かしい匂いと安堵が、私の体中に広がっていく。
「母さん、綾乃に何を言った」
「本当の事を言っただけだよ。綾乃にもちゃんと謝っておきたかったんだ」
「謝る必要なんかないって言ったろ。
母さんが自分で言いたいって言ったから任せたけど、綾乃はこんなに動揺してるじゃないか」
「お兄ちゃん」
「頼むよ、母さん。もっとちゃんと綾乃の事見てやってくれ。母親なんだから。……俺じゃもう、助けてやれないんだから」
泣きそうな兄の声に、私は次の言葉を告げれなかった。