キズナ~私たちを繋ぐもの~
「どういう事だ」
3人で病室を出て、しばらく廊下を歩いた後、そう切り出したのは兄だ。
「同居だと言っただろう。いつから同棲に変わった」
睨むような眼差しは、私ではなく司に向けられていた。
司は、それをなんてことないように受け流して、私の手を握った。
「昨晩ですよ。もう一度やり直すことにしたんです」
「な……」
「俺たちは一緒に暮らしてもうまくやれる。そう分かったから、よりを戻したんです」
「アヤ……」
「達雄さん」
きっぱりと告げる司の声が、廊下に響き渡った。
「俺は綾乃と結婚する準備を進めます。……異存は、ありませんね?」
「……アヤ」
兄の目が見開かれて、ゆっくりと私の元へ落ちる。