キズナ~私たちを繋ぐもの~
「……達雄さんのところには、返したくないんだ」
「司」
「何かあったら困る」
「お兄ちゃんなら何もしないって、言ったのは司じゃない」
「でも」
「私は『妹』だもの。……何もされるはずなんかないわ」
言いたくない言葉を繰り返す。
司は髪をくしゃくしゃとかきむしり、大きく一つ溜息をついた。
「……離したくない」
「司」
「戻ったら、綾乃はまた達雄さんに気がいってしまう」
「そんなこと無いよ」
「誓える?」
心配そうに覗きこまれて、自分でも考えてみる。
分からない。確かに自信はない。