キズナ~私たちを繋ぐもの~
「司にも、信用されてないんだよね」
「そういう訳じゃ……」
「いいの。確かに私も、自分が良く分からない」
「綾乃」
「……やっぱり、ここにいるわ」
こんな風に気持ちに自信が持てないのに、本当に結婚なんかしてもいいのだろうか。
結局私は逃げてるだけで、何も解決なんてしてないんじゃないだろうか。
「じゃあ、今度の日曜、実家に一緒に行こう」
「うん。……あの、平日に一人で病院に行ってきてもいいでしょう?
司は仕事遅いし。……母さんに、何かしてあげたいの」
「ああ。遅くなったらタクシー使って帰ってこいよ」
「うん」
私たちは本当にこのままでいいんだろうか。
そんな疑問を常に抱えたまま、それでもお互いに歩みを止める事はなかった。
……流されてしまいたかったのだ、多分。