キズナ~私たちを繋ぐもの~

 翌日、私は仕事を終えるとそのまま病院に向かった。

簡素な白い病室は、ずっとここにいるにも関わらず、あまり生活感が感じられない。

相変わらず点滴に繋がれたままの母親は、私をみると弱々しく笑う。


「母さん、元気?」

「うん。綾乃は仕事はどう?」

「平気。同じことの繰り返しだもん、もう慣れた」

「いつの間にか大人になってたんだものねぇ」


ポツリと母が言う。

そうだろう。
私の成長を見守ってきたのは、母ではなくずっと兄だった。
だから私も、母にはいつも一線を引いて接してた。


「ごめんね。いつも何もしてあげれなくて」


母が呟く弱音が、私の胸に突き刺さる。

ずっとこの弱音が嫌だった。
だから会わなくて済むなら会わない方がいいって思ってた事だって否定できない。

なのに。
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