キズナ~私たちを繋ぐもの~


「……っ」


なのに、言えなかった。
やっぱり私はどこかで、母親に遠慮してるんだろうか。

唇をかみしめる私を気にも留めないように、母は呆けたように一点を見つめた後、口を開いた。


「綾乃」


その声がポツリと響く。


「何?」

「私がいない方が、あなたたちは幸せになれるわ」

「……お母さん」


母の言葉は拒絶のように響いて、私はそれ以上もう何も言う気にはなれなかった。


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