キズナ~私たちを繋ぐもの~


 日曜日は晴天だった。

ベージュの落ち着いたワンピースにナチュラルメイク。
清楚を意識して身支度を整える。
耳にはシンプルな真珠のピアス、左手に彼からもらった婚約指輪をつける。

ジュエリーボックスには、兄からもらったピアスが入っている。
見るたびに胸が疼いて苦しいから、最近では薄布にくるんでしまっている。


「綾乃、用意できたか?」

「うん」

「じゃあ行こう」


司に手を引かれて、アパートをでる。

今日は、彼の両親に紹介してもらって、一緒に食事をとる約束だ。
車の中で、司はゆったりとした音楽を流しながら私に優しく話しかける。

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