キズナ~私たちを繋ぐもの~
「デートはしたよ。早めに帰ってきたの。仕事あるし」
「色気無い女だな。たまには泊ってこればいいじゃないか。俺はそんなに固いこと言わないぞ」
「だって。いつ病院から電話入るか分からないし。……家を空けるのは心配なのよ」
その言葉に、兄は黙った。
私と血の繋がらないこの兄をつなぐ言葉。
『病院』
「……俺、今日見舞いに行くけど。一緒に行くか?」
「え?」
「誕生日。一日遅れだけど、母さんにも顔見せてやれよ」
「ああ。そうね」
「会社に迎えに行くよ。何時に終わるんだ?」
「あー、じゃあ18時に」
「わかった」