キズナ~私たちを繋ぐもの~


「ほらついたよ」


司の声に我に返る。

ついた先は立派なホテルで、ドアマンに誘導され地下の駐車場に車を停める。

ここの最上階にある展望レストランでの食事をする予定だ。

慣れない場所に、なんだか緊張する。


「いらっしゃいませ」


落ち着いた声のウェイターにお辞儀され、私たちは中へ通される。
景色が良く見えそうな奥のテーブルに、司のご両親がそろって座っていた。

緊張のあまり上ずった声で、私は急いで頭を下げる。


「は、はじめまして。西崎綾乃と申します。いつも、司さんにはお世話になっています」

「俺がお世話されてんだよ。父さん、母さん。こちらが電話で話した綾乃さん」


顔をあげると、にこやかに笑う司のお母さんと目があった。

50代くらいなんだろうか、栗色の髪の毛がふわふわとして品がある。
お化粧も綺麗にしていて、すごく若く見える。

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