キズナ~私たちを繋ぐもの~
司のお母さんは、私の戸惑いにも気づいてないようで、笑みを深くして続ける。
「お式は盛大にしましょうね。お兄さまもきっと喜ぶわ。苦労してあなたの成長を見守っていたんですものね」
「……はい」
私は、ぎこちない笑顔でそれに答えた。
……それは本当だ。
私は幸せだったけど、兄はきっと苦労していた。
18歳から、10歳下の妹の面倒を見るなんて、簡単にできることじゃない。
私はずっと一緒にいたかったから、兄の苦労は頭の隅にあったけど、できるだけ考えないようにしていた。
だからきっと、今こんな風に言われて、胸が痛むんだ。
そう。
私が、兄の幸せを願ってあげなきゃいけなかったんだ。