キズナ~私たちを繋ぐもの~
婚姻届と電話のベル
和やかな食事を終え、司の部屋に戻ってくると自然に溜息が出てきた。
「疲れただろ」
司が、気づかうようにそう言って冷蔵庫からビールを取り出す。
車を運転するので、レストランでは飲まなかったのだ。
彼はネクタイを緩めながら、ビールを私に向かって差し出した。
「ほら、綾乃の分」
「うん。……ごめん、今日はいい」
私は手を振ってそれを遮った。
司の両親は優しい。
なのに、私の心は落ち着かなかった。
どこか試されているような視線。
どこか見下されているような空気。
そんな風に感じてしまうのは、私の心がねじ曲がっているから?