キズナ~私たちを繋ぐもの~
「……達雄さん、司です」
動けない私の脇から手を伸ばして、司が電話を取った。
『司くんか』
「どうかしたんですか?」
『悪いが、早く綾乃を病院に連れて来てくれ。母が発作を起こして、状態としてはかなりやばいらしい。俺もすぐ向かうから。……頼むから早く』
「分かりました!」
司は電話を切ると私の方に体を向けた。
そして、呆けている私の頬を叩く。
「何してるんだ、綾乃。早く行くぞ、服を着て」
「う、ん、……あ」
「しっかりしろよ。もめてる場合じゃない。色々な話は後でだ」
「……うん」
司がそう言ってくれたので、少しは頭が動き出した。
私は急いで落ちている下着を身につけ、クローゼットからジーンズとロング丈のセーターを取り出して着た。
振り向くと、司ももう身支度を整えていて、右手に車のキーを持ち私を手招きする。