キズナ~私たちを繋ぐもの~
兄は朝食を食べ終えると、慌ただしく準備をして玄関で靴をはく。
「じゃあ、俺先に出るな。戸締り頼む」
「うん。行ってらっしゃい」
「あ、これ」
兄が小さな包みを差し出す。
それを受け取るとき、心臓がドキンとした。
「誕生日プレゼント。安物だけど、綾乃に似合うんじゃない?」
扉が閉まり、車のエンジンの音がする。
発車する音を聞きながらその包みを開けた。
中から出てきたのは、小さなピアス。
確かにたいして高くは無いのだろう。
ケースにも入っていないし、光沢だって昨日の指輪には足元にも及ばない。