キズナ~私たちを繋ぐもの~
「綾乃」
「ごめんね、お兄ちゃん。また皆一人でやらせちゃって。……私も手伝う」
「アヤ」
「お母さんは」
「今は霊安室に。葬儀屋とは連絡がついているから、もうじき来てくれるはずだ。おそらくは明日が通夜で、明後日が葬式になると思う」
「そう」
大体の手配はもう済んでしまったのだろうか。
父の葬儀の時も、良くは覚えていないけれど兄が色々手配して、まだ18歳だったのに、きちんと喪主まで務めてくれた。
「私にできる事があったら、何でも言って?」
そう言った私を見て、兄は私の肩を抱くようにして病室の中へと移動した。
その顔は少し厳しく、それでいて私の肩に触れる手は温かい。