キズナ~私たちを繋ぐもの~
どこまでも優しい兄の腕。
背中をさすってくれる大きな手。
お兄ちゃんが、大好き。
そう素直に言えた頃が懐かしい。
子供のように泣きじゃくりながら、もう8歳の子供ではない自分を知る。
頭に残るのは、母の最後の言葉。
『私がいない方が、あなたたちは幸せになれるわ』
私がいたら、兄はどこまでも強くあろうとする。
だから。
私は小さな決意を胸に秘める。
誰にもばれないように、悟られないように。
胸の奥に、そっと。