キズナ~私たちを繋ぐもの~
決意と別れ
それから数日間は、慌ただしく過ぎて行った。
通夜も葬儀も、そのほとんどを兄と葬儀屋さんが表に立ってやってくれた。
私がやったことと言えば、喪服を着こんで、火葬場に運ばれる母の遺体から目をそむけるようにずっと俯いていただけ。
骨を拾うときだって手が震えて、隣にいた司が私の手を支えてくれた。
弔問客へのお礼の時も、うつろな意識のままただ頭を下げていた。
ずっと2人に守られながら、母が灰になって父の元へ行くのを、眺めていただけだ。
葬儀の後、司は部屋に戻ってくるように言ったけど、私はそんな気にはなれなかった。
少なくとも49日までは家にいたいと告げると、渋々ながら了承し、当座の荷物を持ってきてくれた。
紗彩さんは、通夜にも葬儀にも来なかった。
それを兄に聞きたかったけど、うまく言葉にすることができなかった。
私は会社をずっと休んで、母の遺品の整理に没頭していた。
兄は4日ほど仕事を休んだけれど、今日はもう出勤している。
本当だったら初七日とか色々やることはあるのだろうけど、まともな親族付き合いが無い私たちは、特別何もしないことにしていた。