キズナ~私たちを繋ぐもの~
でももう駄目なんだ。
私は、もう8歳の子供じゃない。
泣いているだけじゃ、守られてるだけじゃ、駄目なんだ。
今度は、母の遺影に目を向ける。
年老いて力を失くしたほほ笑みが、今も私に語りかける。
『もうあなたたちを縛りつけなくて済む』
母が最後にくれた言葉は、私の目を覚ましてくれた。
「……お母さん」
私は母に同意を求めるように尋ねた。
「そうなんだよね?」
私も、
兄や司を、縛っていてはいけないんだよね?
いつまでも、ただ甘えているだけではいけないんだよね?
遺影は何も語ることはない。
それでも私は、その母のまなざしから力をもらった。