キズナ~私たちを繋ぐもの~
車を近くのパーキングに停めてもらって、私たちは一緒に歩きだした。
軽く触れる腕に少しドキドキする。
きっとこの距離は近すぎる。
あんまり近くにいると、うまく話せる気がしなかった。
司と居ると、いつも彼のペースになるから。
私が冷静でいられる距離を保たないといけない。
「司、なんか飲もうか」
私はそう言って、近くの喫茶店を指差した。
司は軽く頷いて店に入り、コーヒーを二つ注文した。
「話って何?」
コーヒーの湯気の向こうで、司がゆっくりと言う。
「うん。あのね、結婚の事だけど」
「それなら心配しなくていいよ。俺が進めておく。今はバタバタしてるけど、49日が終われば入籍しよう」
「ううん」
思ったよりもきっぱりと声が出た。
不思議。
気持ちって固めるとこんなに強くなるものなの?